働く人を守る「仕組み」を知ろう





1.問題解決のために









2.相談できる場所






3.解決する方法







































健康で安心して働き続けるために

1.私たちが日常働く中で、様々な労働問題や困難が起きます。 どうしたら解決できるのか?私たちにも多くの相談が寄せら れています。こうした問題を解決するためのア
 ドバイスとなれば幸いです。

2.相談できる場所
 働く人に困ったことがあるとき誰でも相談できる場所があり  ます。
 (1)公的な窓口
    @都道府県労働局
    A労働基準監督署
    B労働委員会
 (2) 弁護士(代理人)
 (3) 労働組合(法律の裏付け)

3.問題を解決する方法
 争ったり決着したいとき解決する方法を選ぶこ
 とができます。
 @労働組合(組合結成、団体交渉、団体行動)
 A個別労働紛争解決促進法(都道府県労働局)
 B労基署(労基局)へ申告(不払い残業など)
 C労働委員会の斡旋(都道府県)
 D労働審判(裁判所)
 E裁判(仮処分、本裁判、和解)
  ※1回の審理で判決の「少額訴訟(60万以下)」もあります。

問題を解決する方法2
1.労働三権(働く人には3つの権利があります)
・労働三権とは、団結権、交渉権、争議権です。
・@団結権は、労働組合を作り、加入する権利です。組合加
入を理由とした不利益な扱いは違法です。A団体交渉権は
使用者と交渉する権利で会社側は拒否できません。B団体
行動権は、ストライキを行う権利です。ストライキによる
損害賠償は法律で免責されます。

2.個別労働紛争解決促進法(都道府県労働局)
・当事者の合意に基づく非公開での調整手続です。斡旋で
すので相手方に参加の意思がない場合は打ち切られます。

3.労基署(労基局)へ申告
・労働基準監督署は、労働条件及び労働者の保護に関する
監督を行います。労働基準法は使用者が守らないと罰金
刑や懲役刑に処せられることもあります。

4.労働委員会の斡旋(都道府県)
・労働委員会での斡旋は、組合や団体または使用者からの申
請が必要で、個人で申請はできません。
・斡旋に応じるよう働きかけ、意向を確かめますが、相手方
が応じないとき、斡旋は打ち切られます。

5.労働審判(裁判所)
・個人や組合の労使紛争は訴える事ができます。労働審判と
は原則として3回以内で審理し調停を試み,解決に至らな
い場合には柔軟な解決を図る裁判所での手続です。
・当事者から異議の申し立てがあれば,裁判に移行します。

6.裁判(仮処分、本裁判、和解)
・通常、裁判前に代理人(弁護士)と契約します。仮処分とは、
裁判で結論が出るまで現状を維持するための手続きです。
例えば、解雇された場合の賃金仮
払い等です。別途、本訴訟提起が
原則であり2週間以内に本訴の提起
がなければ仮処分は取消となりま
す。

【解雇事件を争う場合】
◆労働審判(複雑でない事件)=書面提出後1カ月程
度で1回目、2-3週間に2回目、平均2カ月半で終了
調停で解決できないと審判、異議が出たら訴訟に
◆仮処分(半年かかる事もある)=解雇無効なら
「賃金の仮払い」ケースによっては和解も
◆訴訟(1審判決まで1年以上が普通)
・訴訟途中で裁判所の和解勧告も

退職と解雇に関する法律
【退職届の撤回】
・退職届を出しても権限を有する管理職の承諾前は
撤回可能です。民法95条(錯誤)により、重大な
過失を除き、意思表示に錯誤ある場合、無効となり
ます。民法90条により、公序良俗に反する法律行
為は無効です。労基法3条では、差別的な取り扱い
は禁止されています。

【退職勧奨と退職強要】
・社会的な相当性を逸脱する「半強制」「執拗な退
職勧奨」は退職強要なので違法です。どんな場合も
退職勧奨に応じる義務はありません。退職強要は、
人格権(憲法13条)の侵害なので損害賠償を請求でき
ます。「言った、言わない」とならないよう証拠を
残しましょう(隠し録音は正当防衛です)
【退職は自由】
・労働者からの一方的な契約解除が辞職です。
→民法627条により、期間を定めない場合、2週間
前に解約を申し入れ出来ます。
→憲法22条(職業選択の自由)や18条(奴隷的契約は
無効)で労働者は保護されています。
→労基法16条では、辞職の際の「違約金、損害賠
償を含む雇用契約」は禁止されています。

【退職強要と配転・出向】
・労働契約法14条で、権利の濫用は無効です。
・退職強要の一環で行われる配転/出向は、労働者に
不利益が大きい場合が多い。(遠隔地、労働条件悪
化、単純作業など精神的苦痛)
配転/出向が有効となる場合
(1)労働契約や就業規則の根拠
・就業規則に「業務上、配転を命じる」との概括的
規定があれば問題になりづらいと言えます。しかし、
出向の場合は概括的規定では不十分です。別の使用
者の元で働くという労働条件の重大な変更なので、
*出向を命じること自体が明確
*出向先での基本的労働条件が明確(最高裁判例)
が求められています。
(2)法令違反が無いこと
・組合活動の妨害を理由とした配転は無効です。
(労働組合法7条:不当労働行為)
・労基法3条で思想信条による差別は禁止です。
(3)権利濫用でないこと
・配転/出向に、どれほど業務上の必要性があるか
配転/出向の選定が合理的か、配転/出向が、どれ
だけ不利益か(特に遠隔地)が問題となります。

【解雇規制】
・解雇とは、使用者からの一方的な契約終了です。
・労働基準法20条では「少なくとも30日前の予告」
を定めていますが、これをもって解雇自由ではあり
ません。(労基法は最低基準です)労働契約法16
条「解雇権濫用」により、社会通念上、相当でない
場合、解雇権濫用の違法です。労働契約法17条で、
有期契約の途中解雇は、まず認められません。試用
期間中でも解雇権濫用は適用されます。

<解雇の法的規制>
・労基法3条:国籍、信条、身分を理由とする解雇は無効
・労基法104条2項:労基法違反の申告を理由とする解雇は
無効
・労基法19条:業務上のケガや病気の期間および以後30日
間は解雇できない
・労基法19条:労基法の規定により産前産後に休業中およ
び以後30日は解雇できない
・労組法7条:組合加入や結成などを理由とした解雇は無効

整理解雇の4要件
・整理解雇に対抗するには労働組合が必須です。
「団交権」は組合にしかないからです。事業縮小な
どによる整理解雇の場合、以下の4要素が総合的に
判断される場合が多いと言えます。
@人員削減の必要性:経営上必要か、程度について諸説が
あり争いとなる場合が多い。
A解雇回避努力を会社が行ったか:経費削減、新規採用停止、
時短(ワークシェア)、賃金カット、配転/出向、一時帰休、
希望退職募集など。
B人選の合理性:客観的に事前に設定し、公正に適用か
C説明/協議:組合や労働者に必要性、時期、規模、方法、
補償について納得を得るための説明がひつようです。

【能力不足での解雇】
・真面目に働いていれば、余程の事がないと解雇は
裁判では認められません。
@仕事の遂行能力の不良が著しい場合
A教育訓練の機会を与えたのに改善せず向上の見込
みがないとか・能力不足を理由とした解雇は社会的
にほとんど認められないという確信を持ち、
@証拠を集め残す(過去の実績や同僚との比較など)
A徹底的に争う姿勢を会社に示すことが重要です。

【規律違反行為】
規律違反による解雇には3つハードルがあります。
@就業規則上の根拠、A弁明の機会、B処分の相当
性(減給や降格)でえす。特に懲戒解雇は厳格で要
件を満たさなければ権限濫用で違法/無効とされます。
@就業規則に明示/周知A規定が合理的(遅刻3回
で解雇等は論外B規定に該当する懲戒事由(立証
が必要)Cその他:不遡及(過去は問えない)、一事
不再理(何度も問えない)、平等性、相当性(重さ)、
適正手続き(弁明など)
☆正社員の解雇は、非常に困難なために、会社は
「リストラ部屋」などを作って自ら退職するよう強
要するのです。

【私傷病を理由とした解雇】
・3つの要件が必要とされています。
@休職期間満了
A復帰が不可能
B配転の可能性もない
(これが重要です)

【有期契約社員の解雇(雇い止め】
(1)雇い止め(労働契約法19条)
有期か無期かの違いはあってもアルバイトかパート
かの区別はありません。過去に「反復更新」されてい
たら実質的に期間の定めない契約と認定されます。採
用時の説明など、更新に合理的な「期待」がある場合
も雇止めは無効です。(「長く働いて」等)更新申し
込みが必要ですが、「嫌だ」「困る」でも有効とされ
ます。有期契約の雇止めでも、労働契約法16条(解雇
濫用)が適用となる場合があるのです。
(2)対処方法
労働契約法19条により会社に通知書を送付しま
す(「反復更新」「今後も更新を期待」「労働契約
を申し込み」等を出します)労働契約法20条(無期
と有期の差別禁止)、パートタイム労働法12条(正社
員への登用義務)を指摘できる場合があります。
(3)無期転換ルール
労働契約法第18条により、同一会社で通算5年
を超えると無期契約への転換を申し込めるようにな
りました。(通算5年は平成25年4月からカウント
されます)但し、クーリングオフ(無契約期間)で通
算期間はリセットされます。

違法な働き方を確認しておきましょう。会社に雇
われたら雇用契約書と就業規則は保管しましょう。
<労働時間>
・1日8時間・1週40時間が労働時間の上限です。
・1回の勤務が6時間を超える場合45分間、8時間
を超える場合1時間の休憩時間が必要です。
・変形労働時間制の場合、1カ月を平均して1週40
時間以内であれば1回の労働時間が8時間を超え
ていても合法です。
<残業>(時間外労働) 労働組合または職場代表者
と会社が協定すれば、1日8時間および1週40時間
を超えて労働できますが、最低25%の割増賃金が条
件です。(労働基準法36条にもとづく「36協定」
と言います)サービス残業をなくすために、持ち帰
り仕事を含め、働いた時間を自身で記録しておくこ
とが後の問題が起きた時に役立ち、重要です。
<有給休暇>
半年以上の間、8割以上出勤したら年間10日間の
有給休暇が取得できるようになります。また、勤続
1年半から有休が加算され、最終的に勤続6年半以
上の有休は年間20日間となります。

パワハラのポイントは、2点あります。
【職場内の優位性】
上司から部下に対しての行為だけでなく、先輩・
後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行
われるなどの様々な職務上の地位や人間関係の優位
性を背景に行われるケースが含まれます。
【業務の適正な範囲】
個人の受け止め方によって不満に感じる指示や注
意・指導があっても「業務の適正な範囲」内であれ
ばパワハラには該当しません。
【職場のパワーハラスメント】
・暴行・傷害→ 身体的な攻撃
・脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言→ 精神的攻撃
・隔離・仲間外し・無視→人間関係からの切り離し
・業務上、明らかに不要なこと、遂行不可能なことの
強制、仕事の妨害→ 過大な要求
・業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度
の低い仕事を命じることや、仕事を与えない
→ 過小な要求
・私的なことに過度に立ち入る→ 個の侵害
(平成24年厚労省円卓会議ワーキンググループ)


労働者の、募集/採用、配置/昇進/降格/教育訓練、
福利厚生、職種/雇用形態の変更、退職勧奨/定年/解
雇/労働契約の更新において、性別を理由に差別する
ことは禁止されています。平成26年7月から改正施
行規則が適用されます。

《間接差別の禁止》
今までの間接差別とは、「身長、体重、体力」
「総合職の募集/採用の際、転居を伴う転勤」「昇進
の際、転勤の経験」を要件とすることでした。今般
の改正では、総合職だけでなく全ての労働者の「募
集/採用、昇進、職種変更の際、合理的な理由のない
転勤を要件とすること」です。
《性別による差別》
「結婚を理由に職種変更や定年について男女で異
なる取扱い」が追加されました。
《セクハラ防止の徹底》
「性別役割分担意識に基づく言動」
が原因や背景と明示されました。
《「コース別」雇用管理》
「コース等で区分した雇用管理」で
留意すべき指針が制定されました。

平成24年10月、派遣法が改正されました。
【主な改正内容】
(1) 雇用期間30日以内の日雇い派遣が原則禁止とな
りました。(例外的に認められる職種も)
(2)グループ会社の派遣会社からの派遣は8割以内に
規制されます。(連結グループ会社2014.03時点)
(3)離職1年以内の「戻し派遣」は禁止されます。
(直接雇用の派遣への切り替え禁止)
但し、高齢者は「日雇い派遣、グループ派遣、戻
し派遣」とも規制の対象外です。


【労働契約申し込み「みなし」制度】
平成27年10月から、
違法と知りながら派遣労
働者を受け入れていた場
合、直接雇用の申し込み
と、みなされます。

平成25年4月より、改正「労働契約法」が施行
「解雇」=契約期間中の解雇は法律違反です
「雇い止め」=労働契約法第19条
契約が繰り返し更新されてき
た場合、雇止めは出来なくな
りました。期間の定めない契
約と実質的に同じだからです。
「無期転換ルール」
=労働契約法第18条
同一会社で通算5年を超えると、無期契約への転
換を申し込めるようになりました。ただし通算5
年は平成25年4月からカウントされます
→無期転換の申し込み権利は平成25年4月から1回
以上の契約更新の後となります
→「委託」や「請負」の契約は含まれません
→クーリングオフ(無契約期間)でリセットされます
(例:10カ月以上の契約の場合、6カ月以上のクー
リングオフ後に再契約したら、通算も再スタートに)


「労働条件」
更新を含む契約時、書面で労働条件が示されます。
会社は求められたら説明する義務があります。正
社員と均衡がとれた待遇が義務づけられています。
職務、人材活用、契約期間が同じなら、
→ 一切の差別が禁止されています
職務、人材活用が同じで契約期間が違う
なら、@賃金は同一とする努力義務、A教育訓
練は同一の義務、B福利厚生は配慮の義務
職務が同じで人材活用、契約期間が違うなら、
→賃金は均衡考慮の努力義務が、教育訓練は同一
の義務、福利厚生は配慮の義務

職務、人材活用、契約期間が全て違う
場合でも、→賃金は均衡考慮の努力義務、
教育訓練は努力義務、福利厚生は配慮の義務


(1)有期の対象者
1年以上の経験と復職が前提
<育児>
@契約1年以上経過
A子が1歳超え時に雇用継続が見込まれる
<介護>
@契約1年以上経過
A休業開始93日超え時に雇用継続が見込まれる
(2)育児休業期間
子が1歳まで最長1歳半
→法改正で「両親とも」育休なら1歳2カ月まで
(3)労働時間
・時短:育介23 条(原則1日6時間)
→対象:3歳未満(例外:正常事業に支障ある場合)
→対象外:日雇い、育休中、雇用1年未満、1週2
日以下、
・所定免除:育介16条8、労基66条
→対象:3歳未満、妊娠中および産後1年(例外:
正常事業に支障ある場合)
→対象外:日雇い、雇用1年未満、1週2日以下
・時間外制限:育介17.18(1カ月24時間、1年150時間)
→対象:小学前、要介護家族(例外:正常事業に
支障ある場合)
→対象外:日雇い、雇用1年未満、1週2日以下
・深夜制限:育介19.20条など
→対象:18歳未満(労基61条1項)、妊娠中およ
び産後1年(労基66)、小学前、要介護家族
→対象外:日雇い、雇用1年未満、1週2日以下
(例外:同居家族が援助できる場合)
(4)子の介護休暇
・小学前、年5日(2人以上10日)
→予防接種や健康診断を含む
(5)介護休暇
・年5日(2人以上10日)
→ 無給でいいが欠勤扱いはダメ

ブラック企業とは、違法な労働だけでなく「若者
を使い捨て」にする企業です。
《ブラック企業の特徴》
・月収の誇張(固定残業代込みの月収)
・正社員の偽装(有期雇用の試用期間扱い)
・入社しても続く就活(入社後の選別が前提)
・戦略的なパワハラ(「自己都合」退職の強要)
・未払い残業手当(名ばかり管理職、裁量労働制の悪用)
・異常な長時間労働(労基法36条による強要)
・辞めさせない(損害賠償請求の脅迫)

労働災害
労働災害とは、通勤途上を含む業務中のケガや、
仕事の影響による病気、障害、死亡です。請負を除
き、アルバイトやパートタイムを含む全ての労働者
が労災保険を受けられます。
(公務員には「公務員災害補償」があります)

労働組合に入ったら、何が変わるの?
(1)働く者の権利や契約のノウハウ等を一から知る
ことができます。

(2)労働組合法による組合なので、会社は団体交渉
を拒めません。皆さんの身に、何か困った事があって上司に相談できない場合や、上司ではどうにもならない場合など、どんな問題でも労働組合なら会社と交渉できます。

(3)組合に加入した事を伏せておきたい時は、必要になるまで会社には伝えません。何かあった場合、皆さんと相談して会社との交渉等の対策を検討します。

(4)組合は、顧問弁護士との相談もできます。正式
な契約前の相談は無料です。

(5)何か困った問題が起きた場合は、組合メンバー
がお手伝いします。皆さんは働き続けながら、問
題解決を目指すことが出来ます。